“ろくでもなくて、何も発生しないはずなのに何かが発生する場所”
ベルリンの変化をゆるく見つめる。

Nobuhiro Mitani

神戸市出身。2006年からベルリンに移住。ベルリン市内の飲食店にてマネージャーとして勤務する傍ら、毎月定例的に行われるイベント「アンコ会」を12年に渡りオーガナイズし、企画中はパフォーマンスも行う。常に飴玉を持ち歩いていて、いつでも配れるようにしている。
アンコ会Facebookページ


Interview/text : Tatsuo Okazaki
Photo : Fuko Chiba

自己紹介をお願いします。

飲食店マネージャーと「アンコ会」っていうパーティのオーガナイザーがメインの看板だけど、パフォーマー、イラストレーター、写真家っていう肩書きも元々はあったね。ややこしいよね。知らないうちに色んな人の相談役みたいになってるかも。

 

来たばっかりの人との出会いが多くて「ベルリン行ったらアンコ会いくといいって言われて来ました!」みたいな子が多い。生活が不安定な時期の相談に乗るんだけど、みんな生活が安定したら2度と戻ってこない。5年後に再会。そういうのが多い笑。

 

まあ、10代からずっと飲食の世界にいるから、若い子が入ってきて、教えて、育てて...そういうのを繰り返してるから、人のサイクルには慣れてるんだね。あと、飲食業に居ると街の動きとか見えやすいし、情報もどんどん入ってくるから相談にも乗りやすいしね。

ベルリンに来た経緯を教えてください。

日本で元々レストランで働いていて、そこのお店で19歳くらいの時に店長任されそうになったんよ。その時、この先の人生の方向性が決まってしまうのがなんか嫌で「どっかいかな」って気分になったん。で、その時のお店がフレンチカフェだったから短期留学ビザでフランスに行くことを決めて、1999年にパリに行った。

 

フランスでギャルソン(ウェイター)になろうと思ってたんだけど、すんなりその仕事に就けたんだよね。目標が叶っちゃったから「次は写真やろ」ってカメラ購入して、買った次の週に個展開いて。それから、アシスタントを始めて写真の世界に3年。他にも恋愛したり、パリコレ出演したり、高級紅茶ストアで働いたり...最終的には職場でケンカしてビザの支給止められたのね。
1年日本に帰国して、カフェでバイトしてたんだけどその頃はいろんな経緯でホテルニューオータニに住んでた。で、お金貯めて2006年からベルリンに移住したのね。

既に突っ込みたいポイントがすごくいっぱいありますね...なぜベルリンを選んだんですか?

パリで遊び尽くして、もうフランスが面白くなくなってて、その時「ベルリンが熱い」という噂を聞きつけて移ったんよね。特にあんま考えてないかな。

ベルリンに来てからのことを教えてください。

着いたのは夏で、ドイツワールドカップが開催されてたんだけど、その閉幕後は求人が全然なかったん。3ヶ月ずっと仕事探したけど貯金も尽きちゃって「もう死のう」と思って川に身投げしようしてたら、セフレに50ユーロ貰ってそこから巻き返した。運よくレストランの仕事も見つかって、無事ワーホリの1年は終了。

そして東京に戻って、日本にいた期間も、性病くらってクリスマス中に入院したり、オカマに家追い出されたり、痴漢に遭って犯人を追っかけて結局家に連れ込んだり...まあ色々あって楽しかったけど、結局もう価値観とかのギャップで日本で暮らすのが無理になっちゃってて、2009年にまたベルリンに戻ったのね。

ワーホリの時に働いていたレストランがビザを出してくれて、そこからずっとこっちで暮らしてる。最近はWGの家賃が1部屋600ユーロとかなんだけど、その頃は一般的な相場は300ユーロくらいだったね。

主催しているパーティ「アンコ会」について教えてください。

それまでベルリンにあったアジアンパーティがあんまハマらなかったから自分でやっちゃおうって思ったのと、「彼氏欲しいなー」ってなった時に「恋人と出会うためにはパーティしよ」って理由で、2010年に始めたのがアンコ会。

でも第一回の開催数日前に彼氏、現旦那ができちゃったから、アンコ会やる意味はなくなったっていう笑。それで、最初はオープンしたばかりのMAMECHAでやったの。

店舗情報

名前:Green Tea Café MAMECHA
住所:Mulackstraße 33, 10119 Berlin
アクセス:Uバーン Rosa-Luxemburg-Platz駅から徒歩5分 / Weinmeisterstraße駅から徒歩5分
営業時間:月-土 12:00-19:00 / 定休日:日曜、祝日
HP:Green Tea Café MAMECHA

コンセプトとか理由は特になくて「まあテキトーに」

もう10年普通のマンスリーパーティやってて「何かしらの人の出会いがあればいい」って思ってやってる。「なんとなく」の方が長くできる。あと運営者が凄腕だからね!俺やけど。コロナが始まった時は休止とか規模縮小とかがあって、さすがに止めようかとも思ったけど、なんとかまだ続けられてる。でも情熱とかは特にないかな。

 

ジェネレーションが変わってきたのは感じてて、若い人たちには若い人たちの場所があって、いつも新しい人がくるってわけじゃない。けど、まあやりすぎない程度に楽しくやれたらって感じでやってる。俺は最近パフォーマンスせえへんねんけど、今は笹塚さんていうドラッグクイーンとか、あとはソプラノシンガーのタクちゃんとかが頑張ってくれてる。いつもの会場「ポーランドクラブ」もベルリンらしい謎の多い会場で面白い。

店舗情報

名前:Club der polnischen Versager
住所:Ackerstraße, 170 10115 Berlin
アクセス:Uバーン Rosenthaler Platz駅から徒歩3分

ベルリンでの結婚について聞かせてください。

ベルクハインのNaked partyで出会って、ワンナイトの相手を見つけるためのパーティなんだけど、その翌週に同棲が始まってもう12年。結婚は2013年くらいだったかな?結婚したことでの変化は全然ないなー。特に何もなく、理由とか意味もなくて、ビザも既にあったから結婚する必要もなかったんだけど。まあ「なんか結婚しよう」って。

ライフサイクルを教えてください。

9:00に起きて、11:00に出勤して、0:00に仕事が終わって、1:00に帰ってくる。
ネットとか色々やって2:00に寝る。ってのがルーティンだったんだけど、最近ジジイになってきて7:00とかに起きるね。仕事が週に3〜4日だから、それ以外の日は料理を俺がやって、旦那はリモートワークなのでだから掃除とか他のことを全部やる。
俺が仕事の時は旦那ほとんどご飯食べへん。アーベントブロート※だから夕食は食べてもパンとスープくらい。
※ 夜にパンとハム、チーズ、野菜など冷たいものを食べる食習慣のスタイル。

ベルリンのお気に入りスポットを教えてください。

ティアガーデンのTeehaus im Englischen Garten Berlin。人も少なくて、静かで、綺麗で、落ち着く。天気が良かったらなるべく行くようにしてる。ランチ食べに行ったり。
初夏はすごくいいよ。隣にビアガーデンもあるし。意外とみんな知らんらしく、観光客もそんなに多くない。

スポット情報

名前:Teehaus im Englischen Garten Berlin
住所:Altonaer Str. 2, 10557 Berlin
アクセス:Sバーン Bellevue駅から徒歩5分
営業時間:12:00-21:00
HP:公式サイト

ベルリンでのお気に入りアイテムを教えてください。

毎回フィンランド経由で帰るからお土産はムーミングッズが多いんだけど、ベルリンではないね笑。あ、昔ベルリンのタワーで売ってたテレビ塔のおもちゃ。もう現在販売されてないんだけど、これ可愛いからお土産によく買ってたわ。

ソーセージとかビールは日本でも飲めるし、トートバックあげても使わないだろうし、最近は普通のドラッグストアでかわいい飴ちゃんとかグミとかが多いかな。
うーん...そうだ、これ、ナチュラルの胃薬ええよ。ハーブだから乱用しても大丈夫。優しいやつ。

Iberogast

イベロガスト。胃腸薬のブランド。過敏性胃炎、過敏性腸炎、胃痛、消化不良、ストレス性胃炎など消化器官の不調に効く。様々なハーブを由来とするオーガニックな成分で作られている。
公式サイト

あとマイブームは天然ラップ、蜜蝋でできたラップ。再利用できるエコアイテム。ドイツっぽい。

Beeskin

再利用できるラップ。普通のラップと同様に野菜の断面などに使う。天然の抗生物質、抗ウイルス、抗真菌効果があり、最長1年間ほど使用可能。
公式サイト

蜂蜜リップ。CBD入りもあるよ。CBDのグッズは流行ってるね。

Bee Naturals

アメリカの製品。天然由来の油分である蜜蝋を配合したスティックタイプのリップバーム。保湿や唇の保護などの特徴があり、荒れや乾燥から唇を守る。
アットコスメ

赤キャベツの付け合わせ。リンゴで煮詰めている甘いやつなんだけど、鴨料理とかに合うよ。

Apfel Rotkohl

赤キャベツのリンゴ煮。電子レンジで2分ほど加熱すれば出来上がる。瓶詰めのものも定番。パンや肉の添え物によく使われる。
公式サイト

ビオスーパーで買える高級ごま塩、1瓶8ユーロすんねんけどそれだけの価値があるんちゃうかな。

GOMASIO

エジプトでバイオダイナミック農法で作られたごま塩。アジア料理だけでなくアラブ料理にも使われる様子。
公式サイト

こんなところかな、キリないよー。まあおすすめ商品はいくらでもあるからまた聞いて。

ベルリンのいいところってどこですか?

人が無茶苦茶なんやけど、無茶無茶すぎないところ。適当そうに見えて意外とみんなちゃんとしてるとこ。フランス人って全部めちゃめちゃなんだよね全部。スペイン人もイタリア人も同じように私生活が退廃的な奴多くて。ドイツ人もめちゃくちゃな奴は多いけど、そんなんでも、例えば「ちゃんと家では靴脱ぐ」とか「お箸を揃える」とかがあって。最低限ちゃんとしてるのがドイツとかベルリンの人たちの好感が持てるところ。

日本をどう思いますか?

2年に1回くらいは日本に帰っていたけど、コロナがあってからもう数年帰ってないね。
日本は楽しくて好きではあるんだけど、日本人の「同じことをみんなでして、同じトピックのものにみんなが群がる」っていうのはちょっと俺にはしんどかったかな。面白い人はいっぱいいるんやけど、なんかみんな同じ場所に入りたがってるのがね。
あと、無駄に働いてる気もする。一人でやればすぐできることを無理にみんなで働いて無駄を多く生んでる。先に帰ればいいのに上司がずっと居るのとかも面倒くさい。電車のラッシュもしんどい。日本で働いてる時も毎日タクシーで帰ってた。
ベルリンの「人が一箇所に集中していないで分散している」ところは、その反動で好きになった点かも知れない。

ベルリンのいいところを他にも教えてください。

あとは、ゆるいところだね。
「ベルリンらしさ」って、アンプロフェッショナルで「臭い」「汚い」「危険」の3K、「ろくでもなさ」がまずある。けど、何も発生しないはずなのに、何かが発生する場所。
ポテンシャルもモチベーションもないのに楽しいものが生まれる場所。そんな場所だと思ってる。
まあ、そんな気質ももうだいぶ失われはじめていて、コロナも大きな転機だったかも知れないね。クラブの数も減ってるし、質もおかしくなってる。開発されたエリアは綺麗すぎてベルリンの良さが減ってきてると感じる。

ベルリンの街の変化を教えてください。

飲食業で言うと、日本人オリジナルの日本食レストランは減ってるね。開店しているけど稀だね。その代わりベトナム人オーナーの日本食レストランが増えてきてる。日本に財力がなくて、ベトナムに財力があるのを感じるね。実際ベトナム人と話すとビジネス思考がほんと強い。昔の日本もこうだったんかな。韓国の勢いも一時強かったけど、コロナで弱くなった気がする。そんな風に、物価とか人件費の変化はすごくわかりやすい。

 

最低賃金のラインが毎月上がってくってすごいよね。買った家の価値も4倍になった。
今は飲食店のマネージャーで、オーナーが日本人じゃないから日本のことは全部俺がやってるけど、最近、人件費の考え方でケンカしたからまもなく今の職場も離れるつもり。

「やめるー」ってみんなに吹聴したから今そのレスポンス待ってみてる笑。
あと5年で旦那が定年するから、その時次何するかを考えるかなー。

 

ベルリンに残るのもいいけど、日本なら岡山、オーストリアの田舎とかに移る選択肢もありだね。まあ、ずっと生活コストが安くて楽しい街なんてありえへんから、変化は仕方ない。
そん時そん時楽しくしてたらいいんじゃないかな、と。

2022年6月
Club der polnischen Versagerにて

Interviewベルリン在住者インタビュー

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