ベルリン(Berlin)はドイツの首都であり、ヨーロッパのカルチャーを牽引する街のひとつとして若者に人気の都市です。
その背景には2度の大戦や、東西の分断という苦難の歴史があり、それ故に個性的な味わいがある街です。
ベルリンの規模
ベルリンの人口は370万人、面積は892km²、人口密度は4114人/km²です。
比較として、東京は人口1396万人 面積2194km² 人口密度15450人/km²です。
東京と比較すると下記の表のようになります。
ベルリン | 東京 | |
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人口 | 370万人 | 1396万人 |
面積 | 892km² | 2194km² |
人口密度 | 4114人/km² | 15450人/km² |
東京の1/4の人口で半分の面積というイメージです。
日本で同じ規模の都市は、人口では神奈川の横浜市、大きさでは広島県広島市、岩手県盛岡市と同じ規模になります。
経済規模は世界的に見ると70位前後で推移、ドイツ国内では5位に位置しています。
ベルリンの位置
ベルリンはドイツの北東部、ポーランドとの国境に程近い位置にあります。
日本からベルリンへの渡航手段は飛行機が一般的ですが、2022年現在直行便はありません。
フランクフルトやパリ、モスクワなどから乗り継ぐのが一般的で所要時間は最速で約14時間程度です。
フライト費用はエコノミークラスで片道100,000円前後ですが、シーズンオフの最安値で稀に50,000円のチケットが販売されることもあります。
地図上の位置は
北緯52度30分59秒
東経13度22分39秒
日本最北端の宗谷岬の突端が地北緯45度なのでそれより北に位置します。
ベルリンの気候
ベルリンの気候は夏は温暖で時折湿気があり、平均最高気温は22~25℃、平均最低気温は 12~14℃。
冬は寒冷で平均最高気温は3℃で平均最低気温は-2~0℃であり、時に-10℃を下回ることもあります。
年間降水量は570mm。
日本は、年平均1718mmで、世界平均(880mm)の倍の降水量があるので、ベルリンの雨量は非常に低く感じられそうです。
降雪はありますが、それ程多くはなく、雪が長い期間残ることは稀です。
ベルリンの歴史
ベルリンの歴史を大まかにまとめると右記のようになります。
こうして見ると、ベルリンはさまざまな歴史の波に翻弄され続けた街と言えます。
ベルリンの街を歩くと、ナチス政権下で犠牲になった人の名前、生年月日、移送された収容所名、死亡年月日が刻まれた金属プレートが道に埋め込まれているのを見かけます。悲惨な歴史と正面から向きあう姿勢が、思想をぶつけ合う文化となり、言い表せない魅力につながっているのかもしれません。
ベルリンの文化
ベルリンは世界中の人々が集まる国際都市です。1990年の東西ドイツ統一後、政治やアート、ファッションの中心地として飛躍的な発展を遂げました。
そのカルチャーの発信力は東西ドイツの統合で生まれた多くの廃墟と言われています。
大量の廃墟をアーティストやミュージシャンが占拠したことで爆発的なクリエイティビティを生み出したのだとか。
イーストサイドギャラリーや街中の建物に描かれたグラフィティに、そんな爆発力を感じることができます。
また、クラブカルチャーが盛んなことも有名です。ドイツといえばテクノミュージックを連想する人も少なくないはず。
大量の廃墟を改装したクラブが軒を連ねているのを見ると、ドイツの音楽を成長させた町と言っても過言ではありません。
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1200年代
1200年代初頭「ベルリン」という名称が文献に表れ始める。
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1415年
ホーエンツォレルン家のフリードリヒ1世がブランデンブルク選帝候となり、フリードリヒ2世がベルリンに宮殿を建設。
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1701年
プロイセン王国の首都に制定される。
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1871年
ドイツ帝国の首都に制定される。
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1919年
第一次世界大戦敗戦。敗戦後敷かれたワイマール共和制のもとで成長する。
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1936年
ベルリンで第11回夏季オリンピック大会が開催
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1938年
水晶の夜事件。ユダヤ人に対しての迫害が激化する。
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1939年
ナチスのヒトラー政権下で第二次世界大戦開戦。
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1945年
終戦。イギリス、フランス、アメリカ、ソ連の4か国に占領される。
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1961年
ベルリンの壁が建設され、東西ベルリンは分断される。
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1989年
ベルリンの壁が崩壊。
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1990年
ドイツが再統一される。ベルリンは新生ドイツの首都となる。
ベルリンの象徴
ベルリンベア
ベルリンの紋章は白地に黒のクマです。クマは1709年からベルリンの紋章として使用されてきました。
現在、クマはベルリンのマスコットとして使用されるようになり、2001年にはベルリンベア(正式にはUnited Buddy Bears)が誕生しました。
アンペルマン
また、クマ以外の象徴として、アンペルマン(Ampelmännchen)があります。
これは、旧東ドイツの歩行者信号機で使われていた人の形のマークの名前ですが、ベルリンの信号には至る所でみることができます。
東西ドイツの統一に伴い、当初は西ドイツで使用されていた信号機のデザインに置き換えられる予定でしたが、かわいらしいデザインに親しがもたれていたので撤去を免れました。信号がLEDになってもデザインは承継され、ベルリンの80%以上の信号機がアンペルマンになっています。
また、2004年には女の子バージョンのアンペルフラウ(Ampelfrau)も登場しました。
ベルリンの主な観光名所
博物館島
ベルリンの歴史的中心部にあるシュプレー島の北部にある複合博物館です。
ドイツの首都ベルリンを代表する観光スポットであり、ヨーロッパで最も重要な美術館のひとつ。
1830年から1930年にかけて、プロイセン王の命により、5人の建築家の計画に従って建設された博物館島は、1999年にユネスコの世界遺産に指定されました。
カイザーヴィルヘルム教会
ドイツ福音教会所有のプロテスタントの教会です。
第二次大戦の空襲で大きな被害を受けた旧教会と、同じ敷地内に「青の教会」と呼ばれる新教会が併設しています。
特に、青の教会の壁に埋め尽くされた21292枚のステンドグラスの美しさに圧倒されます。
ベルリン大聖堂
ミッテにある記念教会。ひときわ目を引くドームが印象的な建物。ターコイズ色をしたドームの内側はステンドグラスなどで装飾されており、階段を登りながら真近で楽しむことができます。
また、階段を登りきり天蓋部分へ出て、ベルリン市街を一望することもできる絶景スポットです。
シャルロッテンブルク宮殿
シャルロッテンブルク=ヴィルマースドルフ区にある宮殿。1699年に建立。宮殿そのもの以外にも、ベルベデーレ、パビリオン、霊廟などの建築群が世界遺産に登録されています。広大な庭園を散歩するだけでも楽しい。
イーストサイドギャラリー
ベルリンといったらまず思い浮かべるのは「ベルリンの壁」。現在は一部が残っていて、世界中のアーティストが作品を描いています。中でも、『独裁者のキス』と呼ばれる、旧ソ連と旧東ドイツの書記長のキスシーンの絵は有名で、象徴的な作品。
ブランデンブルク門
ミッテの中心部にある「ベルリンのシンボル」とも言える門。正面には「パリ広場」が広がり、観光客の往来が絶えません。年間を通して、フェスティバルなど様々なイベントが開催されます。
ベルリンの名物
カリーブルスト
ベルリンが発祥のドイツ料理。
香ばしく焼いた太めのソーセージの上にケチャップとカレー粉をまぶした料理で、ベルリンのソウルフードとも言える一品です。
お店によって上にかけるソースやスパイスに違いがあるため、食べ比べも楽しい。付け合わせにフライドポテトが乗っていることもあります。
ベルリン市街の至る所で販売しているので、ベルリン観光の際は是非食べてみてください!
ケバブ
ベルリンはトルコからの移民が多く、本場さながらのケバブが堪能できます。中でも、ドネルケバブはベルリンが発祥だとか。
ドネルケバブは、肉の塊を回転させながらあぶり焼き、焼き上がった部分をナイフで薄く削ぎ落とし、生野菜と一緒にピタパンに挟んでソースをかけて食べます。
お店によってソースや挟む具材は様々で、人気店では1-2時間並んで待つことも…。そんなケバブは、ベルリン観光で外せない人気グルメです!
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アイスバイン
アイスバインは、ドイツ料理を代表する家庭料理で、ベルリン名物の一つです。
塩漬けにした豚のすね肉を、タマネギ、セロリなどの香味野菜やクローブなどの香辛料とともにじっくりと煮込んで作ります。
つけ合わせにジャガイモやザウアークラウト(キャベツの酢漬け)などを添えて、マスタードと食べるのが一般的です。
ベルリンでは、レストランはもちろんのこと、精肉店がアイスバインを提供しているところもあります。
ホロホロで柔らかい豚肉とザウアークラウトの酸味は相性抜群です!
ベルリンの主なイベント
ベルリン国際映画祭
毎年2月に開催される国際映画祭。カンヌ、ヴェネツィアと並ぶ世界三大映画祭のひとつです。来場者数はが世界一の世界最大の映画祭。ドイツでは「ベルリナーレ (Berlinale)」 と呼ばれます。
他の映画祭と比べると社会派の作品多い傾向にあります。最優秀作品賞にあたる「金熊賞」はベルリン市の紋章が熊であることにちなんでいます。 第一回は1951年。その時代時代の世界情勢が反映されるのも大きな特徴です。
クリストファー·ストリート·デー
LGBTQ+の人々の権利、差別への反対に対してのデモンストレーションを行うフェスティバル。ベルリン以外にもヨーロッパ中のさまざまな都市で毎年開催されています。ベルリンのCSDは「ベルリンプライド」と呼ばれることもあります。
1969年のアメリカからはじまり、ベルリンのCSDは1979年から毎年7月に開催されています。政治的意味合いも強いので政治家も参加するそうです。パレードはとても活気があり、同時に市内で様々な衛星的イベントも開催されます。
ベルリン芸術祭
音楽、演劇、パフォーマンス、舞踊、文学、芸術などがもり沢山企画されるフェスティバル。メイン会場はHaus der Berliner Festspieleですが、市内の他の施設も多く利用されます。
ベルリン芸術祭の中にさらに現代音楽、演劇、クラシック、ジャズ、アート、舞踊、文芸といった芸術祭が内包されており、世界中のアーティストが集まり作品を発表する場となっています。
クリスマスマーケット
15世紀にドレスデンで開催されたのがオリジナル。その後、ドイツの各都市に広まり今では世界中で見られるストリートマーケットとなっています。
アウグスブルク、ドレスデン、エアフルト、フランクフルト、ニュルンベルク、シュトゥットガルトのクリスマスマーケットが有名ですが、ベルリンのものは会場数の多さが特徴です。
11月末頃からクリスマスイブにかけて市内各所に開設され、店舗やアトラクション、イベントも用意されています。 華やかなイルミネーションや伝統的なグリューワインやシュトーレンといった屋台などが楽しめ、冬のベルリンの代表的なイベントとなっています。
長く、特異な歴史を持ち、多国籍な文化が入り混じるベルリン。
多くの移民や旅行者で溢れかえる街は、他の都市にはない魅力が満載です。