「ベルリンといえばナイトライフ!」と言っても過言でないほど、ベルリンには夜遊び目的の観光客がたくさん訪れます。「ダンスクラブやバーが多いと、治安が悪くて危険じゃないの?」と思われる方も少なくないはず。
しかし、統計を見てびっくり!実はベルリン、ドイツの他の都市と比べると、意外と治安が良いんです!ベルリンはなんと、ドイツ国内のケルンやライプツィヒより安全というサプライズ。ちなみに、ドイツで一番安全な都市はミュンヘンで、ヨーロッパ中で2番目に安全という結果です。
参考資料:Europe:Crime Index by City 2021
もちろん、そんな「意外と安全」なベルリンにも、犯罪率が高いことで有名な場所やエリアはいくつかあります。今回は、ベルリンの治安の悪さやホームレスの増加に繋がっている原因を挙げた上で、特に注意が必要な地域をいくつかご紹介します!
ベルリンのホームレス・ドラッグ使用者の現状
Deuche Welle(DW)国営放送が2021年末に報道した記事よると、近年COVID-19パンデミックと、賃貸価格上昇の影響を受け、ベルリン市内におけるホームレスの人及びドラッグ中毒者の人数が増加傾向にあります。
ホームレスネスは、精神病に繋がる可能性、またアルコールやドラッグ依存に繋がってしまう可能性が高いという研究結果が出ています。また、コロナ禍により、ホームレスの人やドラッグ中毒者が使用できる公共施設・サービスが限られてしまったことから、こういった人の生活は更に厳しいものになっています。
ドラッグ中毒者の不衛生な注射針は敗血症、肝炎、HIVをはじめとする「注射部位合併症」という感染症を引き起こします。ベルリンには感染予防のために注射針を交換できる施設や、ホームレスの人にドミトリー式の寝場所を提供する施設など、必要不可欠なサービスがありますが、コロナ禍の制限により、運営を自粛してしまいました。
こうした背景から、2021年に発足した新政権「Social Democratic Party (社会民主党)」は、2030年までに「ホームレスをなくす」と宣言しました。大規模な居住施設建設を行うことで、低価格の住居提供を主要方針として掲げています。
ホームレスやドラッグ中毒者へサービスを提供している社会福祉団体の多くは、新政権の宣言を歓迎する反面、打ち出された方針の具体性が不十分であるという懸念を示しています。発足後のSDP政権の動きに注目が集まります。
そんな背景があり、ベルリンには、アルコールだけでなく、メタンフェタミンやヘロインを、駅校内や公園などの公共の場で使用している人がいますので、注意が必要です。
参考資料:The Prevalence of Mental Illness in Homeless People in Germany
参考資料:COVID:Germany’s fight against drug use falls by the wayside
参考資料:Germany’s new government pledges to tackle homelessness
ベルリンで注意が必要なエリア・地域
ベルリンには、犯罪率が極めて高いエリアが市内各地に点在します。今回は、その中でも特に知名度が高い場所をピックアップしました!
Neukolln(特にSonnenallee周辺)
大胆でトレンディなカルチャーが主流のNeukollinは、型にはまらない面白いスポットが多くある一方で、低年齢層の犯罪や移民による犯罪の多さが問題となっています。
特に、Neukollin地区内にある、Sonnenalleeは、ギャングの活動も横行しているとされていて、国内外で大人気のテレビドラマ「4 Blocks」の舞台になるほど知名度の高い犯罪エリアです。一般人が巻き込まれるケースは稀ですが、スリや置引きなどにはご注意ください。
Kreuzberg(特にU8沿線)
ベルリン市内地下鉄U8線沿いに並ぶ地域には、危険と認識されている一帯があります。駅名を挙げると、Kottbusser Tor、 Schönleinstraße、 Hermannplatz周辺が要注意です。この地区では、盗みや万引きだけでなく、暴行や恐喝などの事件も頻繁に起こるので、昼間でもかなり注意が必要です。
Wedding(特にLeopoldplatz)
Weddingは、ギャングのメンバー同士の闘争や殺人事件が頻繁に報道されることから、危険だという認識が高まっています。
ギャングや暴力団に関わりがない一般人が巻き込まれるケースは稀ですが、通行人が恐喝にあったという報道はありますので、注意が必要です。
2013年、Weddingを管轄している警察署が自分たちの職務をアピールするためのHIPHOPを発表しました。この歌詞の中にも以下のような一節があります。
Hier I’m Wedding, wild wild Wedding(俺はここ、Weddingにいる、荒れ果てたWeddingに)
Ist sehr viel kaputt.(この場所はまじで荒廃している)
警察署が公式でこんな歌詞を歌うところにこの地域の治安の悪さが現れています。
Gorlitzer Park
Friedrichshain-Kreuzberg地区内にある公園の一つですが、ドラッグや他の違法物質の取引が昼夜を問わず行われており、ベルリンで最も危険と言われている公園です。
公園を通り抜けると沢山の売人から取引を持ちかけられるので、この公園は皮肉を込めて「商店街」と呼ばれています。話しかけられ、応じてしまうと取り囲まれて逃げ場をなくすこともあるので絶対に無視してください。
また、ドラッグ中毒者が公園内でドラッグを使い、注射針などを捨てている可能性があるので、地面に座る際などには気をつけましょう。
Tiergarten
TiergartenはMitteにある大きな公園です。昼は安全で、ジョギングや散歩などを楽しめる平和なスポットですが、近年、テントで仮住まいをしている、違法滞在者のホームレスの人が増加傾向にあります。また、ドラッグや違法物質の取引、売春なども行われていますので夜歩くのは注意が必要です。
Mitte(特にAlexanderplatz, Hauptbahnhof周辺)
ミッテ地区にはベルリンのシンボルの一つであるテレビ塔や、ベルリン中央駅があります。ベルリンでも比較的安全な地区ですが、観光客で賑わう場所や、高級なブティックが並ぶ道沿いなどでは、スリや万引きといった犯罪が多発しています。屋外のレストランなどでは、置引きにもご注意ください。
Nollendorfplatz
Schöneberg地区のほとんどのエリアが安全なのですが、一部Nollendorfplatzと呼ばれる北部が危険地区とされています。この地域で行われる主な犯罪は、盗み、恐喝、暴力、そして違法ドラッグの使用・取引です。
Warschauer Brücke
ナイトクラブやバーが多いこの地域には、ピークシーズンの夏は特に観光客で溢れかえります。賑やかな反面、この地域では観光客をターゲットにした、ドラッグの取引や強盗などが横行していますので、巻き込まれないよう気をつけてください。
Lichtenberg
ドイツには「ネオナチ」と呼ばれる、ドイツ人(アーリア人)、白人至上主義に傾倒しヒトラー信奉の強い思想のドイツ人がいます。彼らは有色人種を排斥しようとしていて、日本人もターゲットになります。
ベルリンの東部にあるLichtenberg地区、その中でも特にWeitlingstrasseという道の周辺は、「ナチ地区」と呼ばれるほどネオナチが多いことで有名です。
この地域は、ベルリンの壁崩壊後の1990年代に、ネオナチ団体が無断で居着いたことから始まり、現在も「Nationale Alternative(NA)」というネオナチ団体を主に、極右思想の人々が多く住んでいます。この地域には、ネオナチ思想のグラフィティやステッカーが至る所に見られるだけでなく、外国人に対する暴力も後を絶えません。
2016年には、モルドバ出身の男性がLichtenberg内の大手スーパーでネオナチ主義の店舗マネージャーによって、暴力を振るわれ死亡したケースがあります。かなり危険な場所なので、訪れる際にはご注意ください。
参考資料:Police Crime Statistics 2019
参考資料:Berlin’s Sonnenallee: Is Germany’s best-known crime scene all that bad?
以上、ベルリン市内の治安の現状と、要注意な場所をご紹介しました。
是非注意をしつつ、楽しいベルリン時間をお過ごしください!
Fuko Chiba
2021年秋に、ベルリンに移住。読書、旅行とお煎餅が大好きです!