旅行で訪れた時にはキラキラしていた場所にも、いざ住んでみると良くも悪くも意外な側面が見えてきます。
ベルリンには、住んでいるからこそ楽しめる素晴らしい部分がたくさんある一方で、不便なこともいくつかあります。
移住や長期滞在をする前に、マイナス要素も知っておきたい!ということで、今回はベルリンに長年住んでいる日本人の方数名に、ベルリンに住むことの短所や不便なことについて聞いてまとめました!
ベルリン市内で日本の食材を扱っているお店が少なく、コストが高い。
ベルリンで日本食を自炊したい時に困ることは、日本のスーパーでおなじみの食材が手に入りにくいことです。
Reweなど、ドイツのスーパーマーケットにも、醤油などのアジア圏の商品は一応あるのですが、日本製ではない上に割高な場合がほとんどです。
例えば、ドイツのスーパーでコシヒカリは「Sushi Rice」という名前で、1キロ大体4ユーロ(約540円)で売られています。ただ、ドイツのスーパーでは、500グラムずつ個包装されて販売されています。アジアンスーパーでは、5キロの袋が15ユーロ(約2025円)ほどで売られていますので、こちらの方がお得です。
アジアンマルクトには日本の食材がかなり揃っているところもありますが、ほぼ全ての商品が日本国内の値段の数倍します。特に刺身や、タコなどの魚介類は、割高なだけでなく、取り扱っている店がほとんどありません。
ベルリンで日本の食材を購入するのは情報が命!アジアンマルクトやターキッシュマルクト、インターネットで購入できるもの、安売り日など、情報をしっかり収集することでリーズナブルに日本の食材を入手できます。食材によっては、「イタリア産コシヒカリ」など、安価で代替できるものもありますので、ぜひ探してみてください。
愛想がない店員が多く、接客態度が悪い。
「ドイツ人は愛想笑いをしない」という固定観念がありますが、ベルリンの店員と接すると思わず同意してしまいたくなるほど、笑顔で接客されることはほとんどありません。
話しかけられる際にはほとんどがドイツ語な上に、テイクアウトレストランなどでは怒鳴るような声の大きさで対応されることも…
ドイツ語の勉強には役立ちますが、私もベルリンに来た当初はすごく緊張しました!
しかし、こちらが笑いかけると笑い返してくれますし、質問などがあれば真面目に答えてくれますので、根は優しい人が多いという印象です笑。
ベルリンの冬は、やっぱりシンドイ!
夏は日がとても長い反面、冬は一日中薄暗いベルリン。
朝9時ごろに日が昇りますが、空の色は薄いグレーです。午後3時を過ぎると徐々に暗くなっていき、午後4時には街が暗闇に包まれます。そのため、日射時間の短さでビタミンD欠乏症を起こす可能性があります。ビタミンD欠乏症の予防に、スーパーマーケットや薬局でビタミンDのサプリメントを購入している人も少なくありません。
そして、ベルリンは北海道の最北端よりも北に位置するので、冬の寒さは覚悟と準備が必要です。
一年で最も平均気温の低い1月には、気温がマイナス2度まで下がり、日中でも5度を超える日はほとんどありません。かなり寒い気候ですが、雪がほとんど降らない点が救いです。
なかなか精神が鍛えられますが、気持ちのいい夏を楽しみに冬を乗り切りましょう。
ベルリンの街全体が薄汚いイメージ
清潔な日本の街に比べると、ベルリンには汚い地域があります。プラスチックゴミやタバコの吸い殻はもちろん、ガラスの破片が道路沿いに散らばっている光景を目にすることも。
この背景の一因として、ドイツの飲料ボトルのデポジットシステムがあります。
販売されているビールのほとんどは「ファンド」というデポジットつきのガラス瓶で売られています。ホームレスの方などは、その瓶を回収し、デポジットを集金します。
それを手伝うために、通行人は飲んだ空き瓶を路上に置いていくことが多いのですが、それらが回収される前に砕けてしまうことで街が汚れていってしまうのです。
ベルリン市内のアパート探しが難しい
近年アパートや賃貸物件の価格が高騰しているといわれているベルリン。Housing Anywhere社の国際家賃インデックス (The International Rent Index) の統計によると、2020年から2021年の一年間でワンベッドルームのアパートの家賃が、なんと約40%も値上がりしています。
賃貸物件のオーナーが「母国語のドイツ語で交渉できるテナントを優先している」という意見も多数ありました。こうした背景から、現在ベルリン市内において住みやすい物件の数が限られてきています。
参考資料:Berlin among Europe’s priciest cities for renting after rent cap abolished
参考資料:Fixing Germany’s housing crisis is neither quick nor easy
水が硬水・カルキによる肌、髪、シャワーなどへのダメージ
日本の生活水は軟水が多いのに対し、ドイツ国内においてもベルリンの生活水は特に強度の硬水です。
洗い物をした食器に、「ライムスケール」という白い水垢の跡が残ることも少なくないほど。水の味に馴染めないだけでなく、肌や髪が乾燥すると感じる人も多くいます。追加のコストはかかってしまいますが、カルキ用フィルターのついたシャワーヘッドを使用するなど、対策はいくつかあります。
役所手続きでドイツ語が必須なケースがある
ベルリン市内は他の町に比べて比較的英語が通じます。
しかし、市内の区役所などで手続きする際に、必ずしも英語が通じるとは限りません。
館内放送や、受付の案内は基本的にドイツ語のみで、重要な書類(住所登録証明書など)もドイツ語で記載されていることが頻繁にあります。
通訳や書類の翻訳サービスなどを利用することで手続きをスムーズに進められますので、慣れないうちは利用を検討してみるのもいいでしょう。
ドイツ・ベルリンは税金が高い
ドイツは、教育や健康保険の制度がしっかりしています。しかしその制度は、国民の大きな税負担により支えられています。
まず、消費税(付加価値税)の標準税は日本の10%に対し、ドイツでは19%です。
また、所得税は日本と同じく累進課税制ですが、年収に対しての所得税は下記の表のようになります。
年収 | ドイツでの所得税 | 日本での所得税 |
---|---|---|
500万円 | 約35万円 | 約16万円 |
700万円 | 約84万円 | 約39万円 |
1000万円 | 約167万円 | 約101万円 |
これだけでも日本との税率の差は一目瞭然ですね。
ドイツの政府は常に税率を調整し、不平等が生まれないよう最適化をしてくれています。充実した社会保障と高い税率は抱き合わせということでしょうね。
参考資料:税の国際比較
ベルリンには治安の悪いエリアがあり、スリや薬物中毒者もいる
ベルリンの治安は世界的にみると悪くありません。しかし、それ以上に日本には世界でも最高レベルの安全と治安のよさがあります。
なので、日本と同じ感覚でベルリンで暮らすのは「警戒心が緩い」と言わざるをえません。
どの都市にも「危険地区」とされている場所はありますが、ベルリン市内にも治安が悪いと言われる地域がいくつかあります。スリや強盗などの犯罪率の高さや、ドラッグ中毒者の多さが懸念されている場所に行くのは、ベルリンに住み慣れた方でも注意が必要です。
警戒心をゆるめず、防犯対策を怠らず、そしてなるべく治安の悪いエリアには近寄らないことをお勧めします。
ベルリンー日本間の直行便がない
ドイツの首都であるにも関わらず、現在ベルリンの空港からは日本への直行便が出ていません。
直行便でベルリンー日本間を移動するためには、フランクフルトやデュッセルドルフの空港を利用しないといけません。
あるいは、スイスやトルコなどを経由する乗り継ぎ便で移動すると言う方法もあります。
いずれにせよ、日本からの行き来は意外と不便で「長旅が疲れる」といった意見も多く聞きます。
と言うわけで、日本からベルリンに移住した方がちょっと不便に感じがちなポイント10項目をご紹介しました!
しかし、ベルリンにはこれらを上回る魅力的な部分がたくさんありますので、是非これらのポイントを把握し、しっかり対策をした上でベルリンライフをお楽しみください!
Fuko Chiba
2021年秋に、ベルリンに移住。読書、旅行とお煎餅が大好きです!